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勝部 大樹*; 大野 真也*; 稲見 栄一*; 吉越 章隆; 阿部 真之*
Vacuum and Surface Science, 65(11), p.526 - 530, 2022/11
アナターゼ型TiO(001)表面の酸素空孔の酸化を放射光光電子分光と超音速Oビーム(SSMB)で調べた。超熱酸素分子の供給により、最表面及びサブサーフェスの酸素空孔を除去することができた。アナターゼ型TiO(001)の表面には、真空容器に移す前の未処理の状態では、酸素空孔が存在している。この空孔は大気中で安定であり、酸素SSMBを用いることにより効果的に除去することができる。本成果は機能性酸化物表面処理として有望である。
津田 泰孝; 吉越 章隆; 小川 修一*; 坂本 徹哉*; 高桑 雄二*
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 21(1), p.30 - 39, 2022/11
We irradiated n-Si(001) with a 0.06 eV supersonic O molecular beam and characterized the SiO surface and SiO/Si interface using real-time X-ray photoemission spectroscopy. The molecularly-adsorbed O was observed not only during the Si surface oxidation process but also during the SiO/Si interface oxidation process, suggesting that trapping-mediated adsorption occurs at SiO/Si interface as well as on the Si surface. We found a good linear correlation between the SiO/Si interface oxidation rate and the amount of molecularly-adsorbed O, revealing that the double-step oxidation loop exclusively proceeds through P-paul formation and minority carrier trapping at room temperature. The offset of the linear correlation indicates the presence of ins-paul on the SiO surface, which has nothing to do with the double-step oxidation loop because point defect generation is not affected by the volume expansion of ins-paul oxidation in the flexible SiO network.
垣内 拓大*; 的場 友希*; 小山 大輔*; 山本 優貴*; 吉越 章隆
Langmuir, 38(8), p.2642 - 2650, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:13.58(Chemistry, Multidisciplinary)Hf薄膜を形成したSi(111)基板の界面および表面の酸化プロセスを超音速酸素分子ビーム(SOMB)と放射光光電子分光法により研究した。酸化は最表面のHf層から始まり、化学量論的なHfOを生成する。2.2eVのSOMBを照射した場合、界面のHfシリサイドが酸化され、HfO/Si界面近傍にHf-O-Siが生成した。Si基板で酸化が起こり、SiO化合物が生成される。HfO層の下にあるSiO/Si界面領域からSi原子が放出され、歪んだSi層に発生した応力を解放する。放出されたSi原子は、HfOを通過して入射するOガスと反応する。
林田 紘輝*; 津田 泰孝; 山田 剛司*; 吉越 章隆; 岡田 美智雄*
ACS Omega (Internet), 6(40), p.26814 - 26820, 2021/10
被引用回数:7 パーセンタイル:48.92(Chemistry, Multidisciplinary)X線光電子分光法(XPS)を用いて、バルクCuO(111)表面と0.5eVのO超音速分子線(SSMB)を用いて作製したCu(111)表面のタイプ8とタイプ29と呼ばれる二種類の酸化物に関するXPS分析を報告する。新しい構造モデルを提案するとともに、以前提案した[29]構造のモデルを確認した。酸化物構造の新しいモデルを提案するとともに、O1s XPSスペクトルに基づいて、Cu(111)上のタイプ29酸化物の既提案モデルを確認した。O1sスペクトルの検出角依存性から、ナノピラミッド型モデルがO 1sスペクトルの検出角依存性は、(X)R30 CuO(111)ではナノピラミッドモデルがより好ましいことがわかった。また、O1s電子励起過程を報告する。
岡田 美智雄*; 津田 泰孝*; 岡 耕平*; 小島 一希*; Dio, W. A.*; 吉越 章隆; 笠井 秀明*
Scientific Reports (Internet), 6, p.31101_1 - 31101_8, 2016/08
被引用回数:28 パーセンタイル:73.3(Multidisciplinary Sciences)超熱酸素分子ビームを使ったCuAu(111), CuAu(111)およびAuCu(111)などのCu-Au合金表面酸化に関する実験および理論研究の結果を報告する。清浄(111)表面に対応する最表面層がAu偏析によって形成された。これが、バルク中へのさらなる酸化を抑制層として機能する。保護層中のAu濃度が高いほど、保護特性は優れていた。Cu-Au合金3種類のうちAuCu(111)が超熱酸素分子ビームの場合も含めて解離吸着に対して安定であった。以上の保護特性が300K以上の酸化に対して崩壊することを見出した。
津田 泰孝*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 岡田 美智雄*
Materials Research Express (Internet), 3(3), p.035014_1 - 035014_8, 2016/03
被引用回数:5 パーセンタイル:18.66(Materials Science, Multidisciplinary)超熱酸素分子ビームと放射光X線光電子分光を使ったCuAu(111)の酸化プロセスの表面温度依存性に関する研究を報告する。O-1sスペクトルおよび対応する酸素アップテイクカーブは、400および500KにおいてCuOドメインが効率的に生成することを示した。酸素の分布の解析結果は、熱誘起原子拡散が500Kにおいてより厚いCuOドメインの形成を引き起こしたことを示した。CuAu(111)の酸化はCu(111)よりも300-500Kにおいては起き難かったので、CuAu(111)の耐酸化特性がCuに比べてより高温で維持されることが示された。
岡 耕平*; 津田 泰孝*; 牧野 隆正*; 岡田 美智雄*; 橋之口 道宏*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 笠井 秀明*
Physical Chemistry Chemical Physics, 16(36), p.19702 - 19711, 2014/08
被引用回数:11 パーセンタイル:40.12(Chemistry, Physical)Oxidation of CuAu(111) by a hyperthermal O molecular beam was investigated by synchrotron X-ray photoemission spectroscopy. From the incident-energy dependence of O-uptake curve, dissociative adsorption of O is less effective on CuAu(111) than on Cu(111). The dissociative adsorption is accompanied by the Cu segregation on CuAu(111) as well on CuAu(100) and CuAu(110). Obvious growth of CuO cannot be observed at incident energy of 2.3 eV and it suggests that Au-rich layers prevent the diffusion of O atoms into bulk. Density functional theory calculations indicate that O adsorption shows same behavior on CuAu(111) and on Cu(111). The barrier of diffusion into subsurface in segregated CuAu(111) is higher than that of Cu(111). It indicates that segregated Au-rich layer works as a protective layer.
山口 憲司; 志村 憲一郎; 鵜殿 治彦*; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Thin Solid Films, 508(1-2), p.367 - 370, 2006/06
被引用回数:12 パーセンタイル:49.64(Materials Science, Multidisciplinary)成膜後の加熱処理が-FeSi薄膜からの発光(PL)特性に与える影響をより詳細に調べるために、作製した薄膜試料をさまざまなアニール条件で処理した。試料の作製はイオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法もしくは分子線エピタキシー(MBE)法によった。いずれの製法でも、蒸着速度は0.5nm minとほぼ同程度で、膜厚は50-100nmであった。また、PL測定は1100-1700nmの波長範囲で行った。測定の結果、最も強いPL強度を示すのは、IBSD法で作製した試料を1153Kにて10Pa程度の真空中でアニールした場合であることがわかった。この場合、測定温度150K以下では、温度が増加してもPL強度はさほど減少しない。しかし、150K以上になると、温度の増加とともに急激に減少するとともに、ピーク位置も低エネルギー側へシフトすることがわかった。一方、超高真空(10Pa)下でアニールをした場合、アニールによりPL強度は著しく減少した。さらに、透過型電子顕微鏡による断面組織観察によって、高温での真空アニールによりシリサイド膜は数10nm程度の粒状となり、周囲をSiにより取り囲まれてしまうこともわかった。MBE法により成膜した鉄シリサイド膜についてもPL特性を調べたが、概して強度は弱く、また、アニールによる強度の増加もごくわずかであった。
黒田 真司*; Marcet, S.*; Bellet-Amalric, E.*; Cibert, J.*; Mariette, H.*; 山本 春也; 酒井 卓郎; 大島 武; 伊藤 久義
Physica Status Solidi (A), 203(7), p.1724 - 1728, 2006/05
被引用回数:6 パーセンタイル:31.16(Materials Science, Multidisciplinary)窒化ガリウム(GaN)へMnをドープすることで希薄磁性半導体が形成できると期待されているが、結晶中のMnの占有位置により磁性が変化するため、結晶中のMn位置と磁性の関係を明らかにする必要がある。本研究では、分子線エピタキシー(MBE)で作製した(Ga,Mn)Nエピ膜及びAlN基板上に形成した(Ga,Mn)Nドット中のMnサイトに関する知見を得るためにラザフォード後方散乱(RBS)と粒子誘起X線放出(PIXE)測定を行った。その結果、RBSチャネリングに対応してPIXEにより求めたGa及びMn濃度が減少することを見いだした。このことより、ほぼ全てのMn原子がGaサイトに置換していることが明らかとなった。また、ドット中に含まれるMn濃度のPIXE分析の結果、同一条件でエピ成長をした厚膜よりMn濃度が二三倍高濃度であることが明らかとなり、ドット形成により多量のMnが結晶中に導入できるとの結論が得られた。
高橋 正光; 米田 安宏; 山本 直昌*; 水木 純一郎
Physical Review B, 68(8), p.085321_1 - 085321_5, 2003/08
被引用回数:17 パーセンタイル:62.72(Materials Science, Multidisciplinary)従来、GaAs(001)-24構造は、電子線回折パターンによって、・・の3つの相に区別されてきた。しかし最近では、これらの構造は基本的には類似しており、やの相は、相の秩序が乱れたものであるという指摘もある。本論文では、その場表面X線回折法により見いだされた、・相に特徴的な構造の乱れについて報告する。・・に相当する表面について、逆格子空間のHK平面内における分数次反射のピークプロファイルを測定したところ、相と比べ、・相では、ピークが広がるとともに、ピークの位置が[110]方向に移動していることが見いだされた。モデル計算により、このピークの移動は、[110]方向の4倍周期を乱すドメイン境界によるものであることがわかった。この結果に基づき、ドメイン境界の構造について議論をおこなった。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
Surface Science, 532-535, p.690 - 697, 2003/06
被引用回数:22 パーセンタイル:69.36(Chemistry, Physical)ナノ・メーターレベルでの薄膜の形成や加工技術、いわゆるナノテクノロジーを開拓するためには、原子・分子レベルで化学反応を解析しその知見を基に化学反応の制御に関する方法を見いだすことが不可欠である。近年の超LSIのゲート酸化膜厚の減少は、このようなナノ・メーターレベルの微細加工技術がなければ開発が不可能な状況である。そのためSi(001)表面の初期酸化過程に関する研究は、実験及び理論の両面から世界中で精力的に研究されている。このように極めて重要な反応系であるSi(001)表面の酸化過程のうち、最も基本的な清浄Si(001)-21表面への酸素分子の初期吸着反応を超音速分子線技術と高分解能放射光光電子分光法を用いて、ダイナミクスの観点から研究したので国際会議(nano-7/ecoss-21)にて発表する。すべての実験は、SPring-8の原研専用軟X線ビームラインBL23SUに設置した表面反応分析装置(SUREAC2000)で行った。超音速分子線技術を用いることにより酸素分子の並進運動エネルギーを、最大3.0eVまで変化させることが可能である。室温でSi(001)-21表面に並進運動エネルギーに依存して形成される酸化状態をSi-光電子スペクトルの内殻準位シフト(ケミカルシフト)から明らかにした。まず、並進運動エネルギーが0.6eVと3.0eVで比べると、飽和酸化膜厚が、それぞれ0.38nm及び0.26nmという極めて薄い酸化膜が室温で形成できることが明らかとなった。特に注目する点は、3.0eVの並進運動エネルギーの場合、膜中のSi状態が多くなる、つまり膜のSiO化が進むことである。このように、並進運動エネルギーを制御することによりサブ・ナノメーターの酸化膜が形成及び制御できることが明らかとなった。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
Surface and Interface Analysis, 34(1), p.432 - 436, 2002/08
被引用回数:3 パーセンタイル:8.63(Chemistry, Physical)超音速0分子線と高分解能放射光光電子分光法を組み合わせることにより、Si(001)初期酸化反応の実時“その場"観察を行うことに成功したので報告する。これまで、われわれはSPrin-8原研専用軟X線ビームライン(BL23SU)に表面化学の実験ステーションを設置し、Si電子デバイス作製で極めて重要なSi(001)初期酸化反応に着目し研究を開始した。Si-2p光電子スペクトルの内殻準位シフト(ケミカルシフト)を用いて、分子線照射時間にともなう酸化状態の変化を分子線照射下で観察することに成功した。特に、並進運動エネルギーが3.0eVの場合、Siに加えてSiの成分が分子線照射時間とともに増加することを見いだした。このように、高分解能放射光光電子分光法を用いることにより酸素の並進運動エネルギーによって引き起こされる酸化状態の時間変化を明らかにすることができた。さらに、Si-2s、Valence bandスペクトルをSi-2p光電子スペクトルと比較することにより酸化状態の並進運動エネルギー依存性を明らかにした。会議ではこれらの知見をもとにSi(001)表面初期酸化におよぼす並進運動エネルギーの役割とその反応メカニズムを詳細に議論する。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
真空, 45(7), p.604 - 608, 2002/07
超音速分子線技術を用いてO分子の運動エネルギーを3eVまで加速し、Si(001)表面の初期酸化過程を研究している。Si(001)表面にO分子線を数秒間照射し、表面酸素量を光電子分光で計ることを繰り返してO吸着の時間変化をいろいろな運動エネルギーのもとで計測した。吸着曲線の一次微分から初期吸着確率(相対値)を求めた。その運動エネルギー依存性には0.3eVに極小が見いだされた。0.04eVから0.3eVまでは運動エネルギーの増加とともに初期吸着確率は減少した。これは前駆体経由で吸着が進むことを表している。一方、0.3eV以上では増加した。これは直接的な吸着を表している。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
Applied Surface Science, 190(1-4), p.60 - 65, 2002/05
被引用回数:10 パーセンタイル:47.9(Chemistry, Physical)放射光光電子分光法による「実時間」その場観察技術を開発し、その手法を用いて超音速酸素分子線照射下で起こるSi(001)表面の酸素化学吸着過程を調べたので上記国際会議にて報告する。超音速分子線は、反応分子の並進運動エネルギーが制御された分子線であるため、表面化学反応の動的過程を明らかにできるとともに、化学反応制御における新しいパラメータを探索することができる。本研究は、SPring-8の原研軟X線ビームライン(BL23SU)に設置した表面反応分析装置にて行った。BL23Uにて得られる高分解能放射光を用いた光電子分光法によって、初めて「実時間」で酸化状態を区別しながら、しかも並進運動エネルギーによる違いをその場観察できた。本研究の進展は、原子レベルで表面化学反応解析を可能とし、半導体微細加工あるいは量子効果デバイス開発に大きく貢献すると期待できる。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
Applied Surface Science, 190(1-4), p.75 - 79, 2002/05
被引用回数:12 パーセンタイル:53.16(Chemistry, Physical)Si表面の酸化を原子レベルで精密に制御することは、MOSFETのゲート酸化膜の製作にとって重要である。本研究では超音速分子線と放射光光電子分光を用いてO分子の並進運動エネルギーがSi(001)表面の初期酸化に与える影響を研究している。これまでに第一原理分子動力学計算で予測されていたO分子がSi(001)面上で解離吸着するときのエネルギー障壁を実験的に初めて検証した。1.0eVと2.6eVを境にしてSiの化学結合状態がO分子の並進運動エネルギーに依存して変化することが高分解能光電子分光で確かめられた。さらにO-1sの光電子ピークが2つの成分から構成され、その成分強度比がO分子の並進運動エネルギーに依存して変化することが新たに見いだされた。この事実はO原子の電子状態がその吸着サイトによって異なることを意味している。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
表面科学, 22(8), p.530 - 536, 2001/08
Si(001)面のパッシブ酸化に与えるO分子の並進運動エネルギーの影響を光電子分光法を用いて研究した。加熱ノズルを使用した超音波シードビーム法を用いて、O分子の並進運動エネルギーを最大3eVまで制御した。第一原理計算の結果に対応するふたつの並進運動エネルギー閾値(1.0eV,2.6eV)が見いだされた。代表的な並進運動エネルギーで測定されたSi-2p光電子スペクトルはO分子の直接的な解離吸着がダイマーとサブサーフェイスのバックボンドで起こることを示唆している。さらに、O原子の化学結合の違いもO-1s光電子スペクトル上で低結合エネルギー成分と高結合エネルギー成分として見いだされた。特に低結合エネルギー成分が並進運動エネルギーの増加とともに増加することが確認された。これもバックボンドの並進運動エネルギー誘起酸化を示唆している。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
Surface Science, 482-485(Part.1), p.189 - 195, 2001/06
シリコン表面上への酸素吸着メカニズムに関する研究は、表面基礎科学としての興味ばかりでなく、半導体デバイス作製技術として多く行われてきた。理論計算の示すところでは、化学吸着過程におけるポテンシャルエネルギー障壁は、1.0eVe以上と言われている。しかし、分子線を用いたこのエネルギー領域におけるSi(001)表面上の酸素化学吸着のダイナミクスの研究は、ほとんど行われていない。並進運動エネルギーが3.0eV以下の領域で、酸素吸着に関するエネルギー障壁を実験的に明らかにした。すべての実験は、SPring-8に設置された表面反応分析装置で行われた。並進運動エネルギーが、1.0eVと2.6eVに化学吸着の閾値が見いだされた。この閾値前後の並進運動エネルギーで酸化された表面を放射光光電子分光で調べたところ、それぞれ異なる化学吸着状態をとることを明らかにした。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
JAERI-Tech 2001-006, 91 Pages, 2001/03
SPring-8の原研軟X線ビームラインに表面化学研究用の実験ステーションとして表面反応分析装置を設置した。本装置では、固体表面と気体分子の表面反応において、入射分子の並進運動エネルギーの効果を研究することを目的としている。そのため、超音速分子線発生装置,電子エネルギー分析器,質量分析器等を用いて、おもに放射光を利用した光電子分光実験と反応性分子線散乱実験を行う。本報告では、表面反応分析装置の仕様の詳細を述べる。
寺岡 有殿; 吉越 章隆; 佐野 睦*
JAERI-Tech 2000-080, 33 Pages, 2001/02
SPring-8の原研軟X線ビームラインの実験ステーションとして表面反応分析装置を設計・製作した。本装置では固体表面と気体分子の表面反応における並進運動エネルギーの影響を研究することを目的とし、超音速分子線発生装置、電子エネルギー分析器、質量分析器を設置して、おもに放射光を用いた光電子分光実験と分子線散乱実験を可能とした。本装置を用いてO分子によるSi(001)表面の初期酸化の分析を行った。理論的に予測されていたO分子が解離吸着するときのエネルギー閾値が実験的に検証された。さらにSi-2pの光電子ピークの構造から並進運動エネルギーに依存して酸化数の大きなSi原子が形成されることが明らかとなった。分子線散乱の実験においても並進運動エネルギーが2eV以上のとき表面温度が700以上でSiO分子の生成速度が急激に増大する現象が発見された。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
Applied Surface Science, 169-170, p.738 - 741, 2001/01
被引用回数:68 パーセンタイル:91.83(Chemistry, Physical)SPring-8に建設された原研軟X線ビームラインBL23SUに設置される表面反応分析装置(エンドステーション)の設計及び基本的な性能について現状を報告する。本装置は主に表面反応分析室、表面構造分析室、ビームモニタ室、超音波分子線発生器から構成される。表面反応分析室では電子エネルギー分析と質量分析の予備実験結果を紹介する。表面構造分析室ではサンプルのクリーニングとその後の表面分析(LEED/AES)について述べる。ビームモニタ室については差動排気の達成度を報告する。超音速分子線発生器ではN及びO分子線を発生させ、差動排気の達成度や化学組成の質量分析結果を報告する。本報告では以上の基本的な性能が表面反応ダイナミクスの研究に不可欠であることを強調する。